飲食店を経営していて次のようなことはありませんか?
・食材を勝手に食べているけど余っているものなので多少は目をつぶる
・レジの誤差は仕方ない
もしかしたら、これらは従業員による不正行為かもしれません。そして、その不正行為は店舗を閉店に追い込む原因となってしまうかもしれません。
あなたのお店は不正とは無縁ですか?本当に?
スタッフを疑ってほしいわけではありません。スタッフに不正をさせない、疑う必要をなくすためにも事前に不正行為を防ぐ対策が必要です。
飲食店においてよくある従業員の不正行為によるトラブルは、大きくわけて2つ「食材」と「金銭」です。
■「食材」に関する不正行為
・料理や食材を勝手に食べる、持ち帰る
厨房や倉庫などにある料理や食材をスタッフが勝手に食べていたり、余っているからと持ち帰ってはいませんか。残ってしまったものを廃棄するのはもったいないからとオーナーや責任者が許可する場合は問題ありませんが、勝手に食べたり持ち帰る行為をしていると、余分な材料費・廃棄費用などを正しくみることができず飲食店の経営数字に影響がでます。
これらの行為は複数のスタッフで当たり前のように行われており、悪気なく行っている場合もあることが特徴です。
・規定量を超えた盛り付け
友人・知人が来店した際にメニューで決められた量より多く盛り付けたり、異なる食材をプラスする行為です。「少しくらい大丈夫だろう」という考えも、積み重なると飲食店の経営に大きく影響します。
お店のサービスとして行う場合は問題ありませんが、スタッフ個人の判断で行ってはいけない不正です。
■「金銭」に関する不正行為
・売上金の抜き取り、着服
レジを通さずお客様の支払ったお金をそのまま持ち出したり、レジを通した後に取り消し・削除などの操作を行ったり、レジの中から金銭を抜き取る行為です。
「信じられない」というオーナー・店長もいらっしゃいますが、実際には飲食店でよく聞かれる従業員の不正行為の代表例です。
・給与支払いや業者への支払いミス
従業員への給与支払いや、食材・備品など納入業者への支払い金額をわざと間違ったり、伝票を書き換えて浮かせた金額を持ち出す行為です。直接手渡しで支払う場合によく起こります。
悪気なく間違った金額を支払う場合もありますが、わざとミスを装っている場合もあります。
では、これらの不正行為を事前に防ぎ、お店もスタッフも守るにはどうすればよいのでしょうか。対策方法をお伝えします。
・放任主義にしない
スタッフへ任せっきりにして、経営者自身も数字の管理・在庫の管理・スタッフの管理など管理業務が疎かになっていませんか?ほかの業務を優先するため信頼するスタッフへ任せているから、このくらい「ま、いっか。」と目をつぶっておこう、という考えではいけません。放任と信頼は違います。定期的または抜き打ちチェックでスタッフにも緊張感を持って取り組んでもらいましょう。
・レジ担当者
可能であれば、時間帯ごとにレジ担当者を決め、担当が変わるごとにレジ締めを行えると良いです。
レジ締めはそれまでのレジ担当者と別、できれば経営者または責任者で行います。スタッフへ任せる場合も二重チェックや抜き打ちチェックで経営者自身が把握できている状況を作りましょう。
またレジでの不正を防ぐためには、通し番号の伝票を使用すると便利です。
・支払方法の変更
直接手渡しやレジから抜き取る形で支払う場合にミスや不正が起こりやすくなります。そのため、納入業者への支払いや給与支払いは銀行振込などお金に触れなくて良い方法をとりましょう。
どうしても手渡しの場合はその場でレジから抜き出さず、あらかじめオーナー自身で準備しておきます。
・防犯カメラの設置
常に監視していなくても、抑制効果につながります。レジや入口周辺だけでなく、厨房や倉庫内に設置しておくことで、勝手な飲食や食材の持ち出しを防ぐこともできます。
・採用時の誓約書
不正に関する誓約書を準備しておき、採用時にサインをしてもらう方法も効果的です。罰則など厳しいルールを伝えておくことで抑制効果が期待できます。
いかがでしたか?
「大げさかな」と感じる方もいらっしゃるでしょうか。けれど、見逃していたり予防しておかないと飲食店が閉店に追い込まれる可能性もあるのです。お店も従業員も守るという意味で、取り組んでおく必要があります。
また最近では、個人情報の漏えいやSNSへの投稿などからトラブルとなる可能性もあります。これらの対策も含めて、一度お店でのルールを見直してみてはいかがでしょうか。