年間損害額はなんと2,000億円!?飲食店の無断キャンセルを未然に防ぐには

年間損害額はなんと2,000億円!?飲食店の無断キャンセルを未然に防ぐには

ここ数年、飲食店などで予約した客が連絡せずに来店しない無断キャンセルが問題になっています。ネット上で簡単に予約を取ることが可能になったため、キャンセルの連絡を疎かにしてしまう人が多いようです。無断キャンセルはお店の経営を左右する重大な問題であり、頻発すれば死活問題にもなりかねません。

 

では、無断キャンセルをできるだけ減らすために飲食店側はどのような対策を取ればよいのでしょうか。


■無断キャンセルとは

予約をしていたにも関わらず、その日時になっても店に連絡なく、または店の連絡を無視して来店しないことであり、「No show」(ノーショー=姿を現さない)とも呼ばれる。

*1 経済産業省が2018年に発表した「No show(飲食店における無断キャンセル)対策レポート」によると、無断キャンセルによる年間損害額は2000億円にものぼると発表された。

 

*1 経済産業省「No show(飲食店における無断キャンセル)対策レポート」(2018年11月1日発表)参照


■なぜ無断キャンセルは起こるのか

なぜ無断キャンセルは起こるのか

前述しましたが、スマーフォンの普及によりネット上での飲食店の予約が誰でも簡単にできるようになりました。しかし簡便になった分、予約が『契約行為』であるという認識が薄くなり、無断キャンセルの心理的ハードルを下げてしまったのではないかと言われています。

 

無断キャンセルの多くは、幹事が複数のお店を同時に予約したままキャンセルの連絡を忘れたり、とりあえず予約したけど行くのが面倒になった、単純に予約したことを忘れたなどが理由として挙げられています。


■無断キャンセルの対策方法

無断キャンセルはなかなか対応が難しいですが、きちんと防止策をおこなえば被害は最小限に抑えることができます。飲食店やレストラン側はどのような対策ができるでしょうか。

 

まず、すぐに取り組めるのは「お客様にこまめに確認する」ことです。

 

ネット予約を複数段階設ける方法はいかがでしょうか。数日前までに確認が取れなければキャンセル扱いになるなどルールを決め、お客様と共有・実施します。

電話が難しい・負担になるお客様のことを考えれば、メール・SNS・ホームページなど他のツール活用もよいですね。

 

客:ネット予約をいただく

  
店:予約当日までに再連絡が必要なこと・キャンセルポリシーを含む内容をお客様に伝え、了承いただけるか確認
  ⇩
客:了承で仮予約確定
  ⇩
店:予約の数日前に最終確認
  ⇩
客:最終連絡で予約確定

そんな手間なことをするとお客様が減るのではないか、店・スタッフの負担が大きい・・・と懸念されるのはわかります。けれど、無断キャンセルが深刻化していく中、何も対策を取らないままでよいのでしょうか。

 

例えば、損害額が大きくなる団体予約のキャンセル。会社の飲み会などで幹事が候補のお店を複数予約し、そのままキャンセルの連絡を忘れるケースが見受けられます。本人は悪気なく「うっかり」でしょうが、準備していた飲食店はたまったものじゃありませんよね。

無断キャンセルで空席の店内(イメージ)

それでも改善されなければ、「デポジット制(前受金)の導入」を検討するのはいかがでしょうか?

 

海外やホテル業界では一般的な方法で、お客様にはクレジットカードなどから予約時に前受金(保証金)をいただき、キャンセルが起きた際にはその預り金から一定額をキャンセル料として頂戴する、という事前決済型の対策です。

システムの導入自体はそれほど難しくないのですが、お客様にとって前受金を支払うという形態に少なからず抵抗があり、日本の飲食業界では浸透しづらいのが実情です。

 

とはいえ、デポジット制を採用するお店は現在どんどん増えており、実際に導入しているお店からは「無断キャンセルが目に見えて少なくなった」「キャンセルの場合もキャンセル料を何割かいただけるのでそれほど負担にはならない」と好感触です。政府主体で無断キャンセルを問題として取り上げているほどですから、今後このような仕組みはどんどん普及していく可能性はおおいにあるでしょう。

 

他にも、「料金代理回収サービス(手数料を支払う代わりに代理で客側にキャンセル料を回収してもらえる)」「キャンセル料保証サービス(月額料金を支払う代わりに無断キャンセルが起こった場合保証金を受け取れる)」という新たなサービスも参入しています。世間が無断キャンセルに対して重く受け止めて問題解決のため取り組んでいるからこそ、そういったサービスも大きな需要があるのです。


■無断キャンセルをされない魅力的なお店作りも重要

もちろん無断キャンセル対策は大事ですが、お店自体にもお客様が離れないような個性をもたせることも重要です。まずはお客様が行きたくなるような魅力的なお店作り・PRをおこなうこと。そして、実際に来てくれたお客様には満足してもらえるサービスや料理を提供しましょう。お客様は自ずとまたお店に足を運んでくれるでしょう。

お店のファン=リピーターを増やすことで無断キャンセルの割合も低くなると言われています。

 

上記の方法を参考にして、早めに対策を取ることをお薦めします。

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